依存症治療の大きな問題として本人の認識があります。医学的な意味での依存症はアルコールやニコチン、覚せい剤などの物質を強く欲する状態を意味しますが、そのような状態に陥っている本人が治療の必要性を認識していないと改善は困難です。
依存症の原因となる物質を摂取すると一時的に精神が高揚し、不快感が消失したように思えます。人によってはリラックスしたような感覚になるため、摂取することが悪いことと認識できません。しばらくすると再び強い不快感に見舞われるため、ますます依存が強くなってしまうのです。
依存症の状態から脱却するには効果的な治療の他、本人の強い意思も欠かせません。そのため、依存症が生活や体調に及ぼす影響を理解する必要があります。
依存症治療に携わる看護師は患者本人の他、周りの人にも苦労させられるケースが少なくありません。特にアルコールやニコチンの依存症は病気と認識されず、治療中の人にも安易に摂取を要求することがあります。社会的な付き合いを理由に飲酒や喫煙を強要するのは依存症治療の失敗に繋がるので、本来なら絶対に行ってはいけないことです。しかし人付き合いや慣習などを理由に本人の意思が無視されるケースも少なくないことから、依存症治療のあり方を見直す必要性が問われています。
依存症治療は効果が出るまで日数を要することから、根気強く続けなければいけません。しかし、社会生活の中で飲酒や喫煙を完全に断つのは決して容易ではなく、その点も治療の効果が得られない理由と言えます。